移動ド唱法

2011.7.2作成
2023.6.13改訂

純正律でハモるにはどうしても移動ド唱法で歌わなければならない。
現在使われている音階は、全音階的長音階と呼ばれ、『ドレミファソラシド』と言う音列で、ヨーロッッパで17世紀に現れたそうである。
日本では、明治時代に近代化教育で、音楽にも西洋音楽を取り入れ、それまでの邦楽にとって替えたが、当時の人々には奇異な感じで皆笑ったそうだ。
古来我が国には、ハモル習性が無く、歌は全て斉唱であった。
移動ドの有名な歌にドレミの歌がある。
ペギー葉山の和訳は別として、原曲では、

サウンドオブムージックに出てくるドレミの歌は、英語では、

Doe, a deer, a female deer
Ray, a drop of golden sun
Me, a name I call myself
Far, a long long way to run
Sew, a needle pulling thread
La, a note to follow sew
Tea, I drink with jam and bread
That will bring us back to do.

従って、ドレミは英語では、
doh(ド)ray(レ)me(ミ)fah(ファ)soh(ソ)lah(ラ)te(ティ)と発音している。
日本語では、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドで、「ティ」を「シ」と発音している。
「シ」下記に示すトニック・ソルファ法では、「So」であるから紛らわしい。今後は「ティ」と発音するのがお薦めである。
半音階の呼び名として、トニック・ソルファ法によると、下記の様になっている。

従って、我々の譜読みで良く出てくる階名は

Ti♭は「タ」
Fa♯は「フィ」
So♯は「シ」
Doは「ディ」

などと発音すると、純正律における音の位置づけが明確になる。
平均率では同じ音でも、純正律では呼び名が異なる。
例えば、Ti♭「タ」とLa「り」とは平均率では同じ音でも純正律では周波数が異なる。

階名の表現は、http://en.wikipedia.org/wiki/Solfege#Tonic_Sol-fa」により引用した。

C-durを例に周波数を計算してみる、。
純正律の周波数は、音程の幅の定義から、
ドから始まって、大全音、小全音、半音、大全音、小全音、半音で、
その比率は、大全音が9/8、小全音が10/9、半音が16/15である。
♯、♭は25/24、24/25で半音とは異なる。
(以上は「音の不思議をさぐる」チャールズ・テイラー著 佐竹淳他訳 大月書店出版によった)
Cの基準音は、264Hzとした。(純正律でAが440Hzに相当する)

参考に、平均律の周波数を計算した。
平均律の周波数計は計算式、によった。

C-durにおける平均律と純正律
階名表現 Movable do solfege syllable 階名発音(カタカナ) 音名 周波数(Hz)
純正律 平均律(式 :F0*2^i/12による)
純正律(Hz) 隣接音の比率 音程 基準音に対する比率 平均律(Hz) 基準音に対する比率 音の順番
Do Do C 264.0 1 基準音 1/1 261.6256 1.0000 0
Do♯ Di ディ Cis/Des 275.0 25/24 277.1827 1.0595 1
Re♭ Ra Cis/Des 285.1 24/25 277.1827 1.0595
Re Re D 297.0 9/8 大全音 9/8 293.6648 1.1225 2
Re♯ Ri Dis/Ees 309.4 25/24 311.1270 1.1892 3
Mi♭ Me (or Ma) Dis/Ees 316.8 24/25 311.1270 1.1892
Mi Mi E 330.0 10/9 小全音 5/4 329.6276 1.2599 4
Fa Fa ファ F 352.0 16/15 半音 4/3 349.2283 1.3348 5
Fa♯ Fi フィ Fis/Ges 366.7 25/24 369.9945 1.4142 6
So♭ Se Fis/Ges 380.2 24/25 369.9945 1.4142
So So G 396.0 9/8 大全音 3/2 391.9955 1.4983 7
So♯ Si Gis/Aes 412.5 25/24 415.3048 1.5874 8
La♭ Le (or Lo) Gis/Aes 422.4 24/25 415.3048 1.5874
La La A 440.0 10/9 小全音 5/3 440.0001 1.6818 9
La♯ Li Ais/B 458.3 25/24 466.1638 1.7818 10
Ti♭ Te (or Ta) Ais/B 475.2 24/25 466.1638 1.7818
Ti ti ティ H 495.0 9/8 大全音 15/8 493.8834 1.8877 11
Do Do C 528.0 16/15 半音 2/1 523.2512 2.0000 12

以上の計算より判明した大切のことは、
@全音に2種類あり、ド〜レ、ファ〜ソ、ラ〜ティは大全音、レ〜ミ、ソ〜ラは小全音である。
A半音とシャ−プ、フラットは異なる。半音は16/15(又は15/16)であり、♯、♭は25/24(または、24/25)である。
B楽譜で♯、♭が出てきたら、転調して移動ドにおける位置づけを明確にしなければならない。
Cドレミの音階を正しく歌う訓練のしなければならない。

それでは、C-durの音階を聴いてみよう。各音程の音量は同一に揃えてあります。

純正律音階 平均律音階

John Curwen and Tonic Sol-faについては、下記のサイトを参照した。

http://www.deakin.edu.au/arts-ed/education/music-ed/curwen-method/curwen.php
しかし、今はキャリクラムに音楽は見当たらない。(2023.6.13)

記事中、イギリスでは、音階大学が1879年に設立されたとあった。

平均律と純正律へリンク