2011年(平成23年)1月1日作成

続 純正律と平均律

続いて、3音の和音について純正律と平均律の違いを実験します

■結果

結果を先に示します

文字をクリックして下さい。音が出ます。

純正律カデンツァ
平均律カデンツァ

純正律・平均律カデンツァの順に

■我々のカデンツァ(Kadenz)(cadenza)

4声の合唱ではあるが3声の和音進行で行っている。

即ち、

パート @ A B C D
Top mi fa mi re mi
Sec do do do ti do
Bari sol la sol sol sol
Base do fa sol sol_8va do
和音構成 do,mi,sol do,fa,la do,mo,sol sol,ti,re do,mi,sol
和音名 T-T S-W T-T D-X T-T
楽譜(Adur)

最近は、パートの音を替えることがあるが、基本はこれである。

■調正の選択

純正律と平均律の周波数の一致する音は音名Aしかない。Aの音叉の音がA4で440Hzである。

つまりAdurのdoの音は、純正律でも平均律でも440Hzである。

因みに、Cdurの場合は、doの音が純正律では264Hz、平均律では261.941・・・になり、和音比較の前に絶対音の差が出てしまう。

したがって、調正はAdurを選択する。

しかも、doの音を220Hzとする。なぜならば、440Hzは男性には高すぎて、トップのfaの音がHigh Cを越してしまい違和感を感じるからである。

和音に用いる単音は下表の通りとする。

平均律の周波数は、式による。

ここに、F0は440又は220である。

平均律 純正律 純正律/平均律の周波数比 ピアノの音に対して
階名 音名 周波数(Hz) 音程の比率 音名 周波数(Hz) 音程の比率 逆数
sol ET_E2 164.81 0.7491 JT_E2 165 0.75 3/4 1.0011 0.9988 ピアノが低め
do ET_A3 220 1 JT_A3 220 1 1.000 同じ
re ET_H3 246.94 1.1224 JT_H3 247.5 1.125 9/8 1.0022 0.9978 ピアノが低め
mi ET_Cis3 277.18 1.2599 JT_Cis3 275 1.25 5/4 0.9921 1.0079 ピアノが高め
fa ET_D3 293.66 1.3348 JT_D3 293.33 1.33333 4/3 0.9988 1.0012 ピアノが低め
sol ET_E3 329.62 1.4982 JT_E3 330 1.5 3/2 1.0011 0.9988 ピアノが低め
la ET_Fis3 369.99 1.6817 JT_Fis3 366.66 1.66666 5/3 0.9909 1.0091 ピアノが高め
ti ET_Gis3 415.30 1.8877 JT_Gis3 412.5 1.875 15/8 0.9932 1.0068 ピアノが高め
do ET_A4 440 2 JT_A4 440 2 1 同じ
re ET_H4 493.88 1.1224 JT_H4 495 1.125 9/8 1.0022 0.9978 ピアノが低め
mi ET_Cis4 554.32 1.2598 JT_Cis4 550 1.25 5/4 0.9921 1.0079 ピアノが高め
fa ET_D4 587.32 1.3348 JT_D4 586.66 1.33333 4/3 0.9988 1.0012 ピアノが低め

3音ではあるが4パートで歌っているので、4声の組み合わせとして音を合成する。
即ち、下表の組み合わせとする。

4声の合成は、電子的に2声+2声とし音響的に4声に合成する方法とする。
通常のステージ並びに倣って、右チャンネルをベースパートに、左チャンネルをテナーパートとした。

4声の合成音は、和音名のET_T-Tなどをクリッックするとステレオで再生します。

2声の合成音は、各チャンネルの周波数をクリックして下さい。

平均律 純正律
和音名 左チャンネル 右チャンネル 和音名 左チャンネル 右チャンネル
ET_T-T mi do sol do JT_T-T mi do sol do
554.32+440 329.62+220 550+440 330+220
ET_S-W fa do la fa JT_S-W fa do la fa
587.32+440 369.99+293.66 586.66+440 366.66+293.33
ET_T-T_3 mi do sol sol JT_T-T_3 mi do sol sol
554.32+440 329.62 550+440 330
ET_D-X re ti sol sol_8va JT_D-X re ti sol sol_8va
493.88+415.30 329.62+164.81 495+412.5 330+165
ET_T-T mi do sol do JT_T-T mi do sol do
554.32+440 329.62+220 550+440 330+220

それでは、和音進行で聞いてみましょう。

平均律カデンツァ

純正律カデンツァ

次に、連続で、純正律・平均律カデンツァ

いかがですか、単音、2つの和音、3つの和音と進にしたがって差が明瞭に聞き分けられたと思います。

■結果の評価

項目 純正律 平均律
安定感 安定感がある 落ち着かない感じがする
純度 クリアな音 ややざわついた音
うなり fa+laでうなる 全部の和音でうなりが聞こえるが時にdo+solが著しい
優劣 合唱に向いている 和音には向かない
音程 両者の周波数比は、0.0022(re)〜0,9909(la)であり、人間の音程の悪さを平均律のせいにするには僅差すぎる

■残された課題

@純正律で何故「la+fa」でうなりが出るか。
A合唱で純正律でハモらせるにはどうすればよいか。
Bピアノの音に比して、物理的にはmi、la、tiで、違いが大きく、ピアノの音が高めであるが、果たして調節可能か。
単音の周波数表の該当周波数をクリックすると音が出ますが、判別出来ますでしょうか。
解りやすくするために連続して並べて見ましょう。

階名 平均律の周波数 純正律の周波数 平均律→純正律の連続
mi 277.18 275 277.18→275
la 369.99 366.66 369.99→366.66
ti 415.30 412.5 415.30→412.5
上のmi 554.32 550 554.32→550

並べて見るとさすがに解るような気がします。

最後までおつき合い頂きありがとうございました。
それにしても、何とかして純正律でハモりたいですね。

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中澤 亨記